17-09 最後の言葉

 湖岸の砂浜では全員が固唾を飲んでアシュアのバイクを見つめていた。 アシュアが体を後ろにねじってケイナを抱きかかえるようにしてバイクのハンドルを握っている姿を見て、やっと緊張が解けた。 ケイナが無事だった。 アシュアは静 …

17-08 最後の言葉

―― ケイナ、変なこと言わないでくれよ ―― ダフルの声だ。 ―― ごめんだなんて。そんなこと考えてたの? ―― ふふふ、と覚えのある笑い声がする。 ―― 人形、ちゃんと父さんに渡してくれた? 約束は守ってくれよ? ―― …

17-07 最後の言葉

 それはあっという間の出来事だった。 セレスはケイナが小さな呻き声を残しながら走り出して『彼』に飛びかかるのを見た。 次の瞬間には2人も視界から消えた。 全員が慌てて壁の端に駆け寄ると巨大な壁を伝いながら落ちていくふたり …

17-06 最後の言葉

 ハルド・クレイは弱り果てて首をかしげていた。 『コリュボス』への異動を知らされたとき、真っ先に頭に浮かんだのはセレスのことだった。 案の定、セレスはハルドの言葉を聞くなりそそくさとクローゼットを開け、大きなバックを取り …

17-05 最後の言葉

 ケイナの手から鮮血が飛び散るのを見て息を呑んだと同時に、カインはセレスが金切り声をあげながら自分の手から逃れて駆け出して行くのを見た。慌てて腕を掴みなおす余裕もなかった。 「セレス! だめだ!」 アシュアの声が響いたが …

17-04 最後の言葉

 ヨクの声がカインの耳に響いたのは、切っ先の反り返った相手のサーベルをほんの少しのタイミングでよけ損なってケイナが左耳の横に細い傷を作ったときだった。全員がひやりとした。 それでも見ているだけで全く手出しができない。ケイ …

17-03 最後の言葉

「ユージー、クルーレは?」 カインが尋ねるとユージーはちらりとカインに顔を振り向かせた。 「心配ないよ。彼はあれくらいのことじゃびくともしない」 「あいつ、軍用のサーベルを持ってやがったぞ」 アシュアの声が聞こえてきた。 …

17-02 最後の言葉

 屋上の端から下を見ると、ふたりが落ちていく先にアシュアがバイクで待ち構えているのが見えた。ケイナが銃を構えた。 アシュアがセレスの腕を掴むのと、ケイナの撃った銃があいつの腕で小さな火花を散らすのが同時だった。セレスはあ …

17-01 最後の言葉

 午後2時、それぞれが順番にオフィスをあとにした。 リアとティ、ブランとダイはオフィスに残って彼らを見送った。 ティが小さく震えているのに気づいたリアは彼女の肩を抱いた。 「大丈夫よ。カインはちゃんと帰ってくるわ」 リア …