11-07 Remember your hand
お昼前になってヨクはカインのオフィスに顔を覗かせたがデスクの前にカインはいなかった。 「カインは、まだ?」 ティのオフィスに行って尋ねると彼女はうなずいた。 ケイナが少し離れた場所で書類に目を落としているのがヨクの目に …
お昼前になってヨクはカインのオフィスに顔を覗かせたがデスクの前にカインはいなかった。 「カインは、まだ?」 ティのオフィスに行って尋ねると彼女はうなずいた。 ケイナが少し離れた場所で書類に目を落としているのがヨクの目に …
カインの部屋のドアの前で少し立ち止まったあと、ケイナは自分の部屋である次のドアに向かって歩いていった。 アシュアがケイナの肩をたたいた。 「ひとりで大丈夫か? こっちで一緒に休むか?」 ケイナはその言葉にかぶりを振った …
アシュアのプラニカは公園の隅に停車していた。 クルーレの運転するプラニカで近くに下りると、少し離れた緑地の中にいる3人の姿を見つけた。 ケイナのそばに座っていたリアが顔をこちらに向け、途方に暮れたような表情で立っていた …
ビルの外は夜が更けているにもかかわらずまだ行きかう人は多かった。 ケイナは立ち並ぶビルを見上げた。ずっと上のほうまで明かりのついている窓がある。 いったいどこから撃ったんだろう。 視線を巡らせながらケイナは道路を横切っ …
その夜、カインはかなり遅くまでオフィスで仕事をしていた。 「いい加減、戻って休めよ」 ヨクがそう言ってオフィスを出て行ったのが2時間前だっただろうか。 ティも帰ったはずだ。オフィスにはケイナとカインだけになった。 よう …
『ホライズン』ではドアーズがセレスの部屋で待っていた。 「詳細はご子息にお知らせをしておきましたが、月に2回ほどは診察を受けさせてください」 彼は言った。 「それと、これは1日1回、朝食後に服用を」 ティはドアーズが差 …
「セキュリティは2時間後に作動し始める。10秒ほど全社のコンピューターが停止するが、それはしかたがないな。『ホライズン』の研究棟、治療棟に影響が出ないぎりぎりの時間だ」 ヨクが書類をめくりながら言った。カインはうなずいて …