06-08 脱出

 何気ないふうを装って、ただひとこと「いいよ」と言えば、ティはいつも通りの笑みを浮かべて嬉しそうに部屋を出ていくだろう。 いつ果たせるか分からないような約束を期待して。 それでまたいつも通りの日常が続く。 オフィスに下り …

06-07 脱出

 カインが会議から戻って来ると、ティがすぐに部屋に入ってきた。 ヨクはソファに沈み込んでぐったりしている。 「どうした?」 カインは彼女の顔を見て尋ねた。ティは少し不安げな表情を浮かべている。 「会議中にクルーレさんから …

06-06 脱出

 その日の夜、ケイナは部屋に誰かが入ってきたことに気づいて顔をめぐらせた。 「起こしてしまいましたか」 時々顔を見る男だった。歩行訓練のときにひどくぶつけた足の痛みを軽減させる薬を処方してくれた。 「もうすぐ出るそうだね …

06-05 脱出

 アシュアは眉を潜めて目の前の男をじっと見た。 『ゼロ・ダリ』の責任者、エストランド・カートが困ったような顔でアシュアを見つめ返す。 「ちょっと理解できないんだけど」 アシュアは言った。 「ケイナはもう十分自分で動ける。 …

06-04 脱出

 カインは自分の部屋に入るなり壁のモニターを開いた。 「チェック、セキュリティ!」 そう言いながらデスクの前に座った。 「こりゃ…… どうなってんだ……」 一緒に入ってきたヨクが壁のモニターを見てつぶやいた。 リィの倉庫 …

06-03 脱出

 ドアーズに案内されてセレスのいる部屋に通されたカインは中に入るなり思わず足をすくませた。 うっすらした光の中でセレスはもうベッドを45度ほどに起こしてもらっていた。 連絡をもらってからまだ1時間程度だ。 横になったまま …

06-02 脱出

 こちらを向いたアシュアは申し訳なさそうな顔になった。 「カイン、あのな、ケイナの記憶、全部残ってるんだ。何も無くしてない」 「……無くしてない……?」 カインはおうむ返しにつぶやいてアシュアを見つめた。 「本当はずっと …

06-01 脱出

 カインはコーヒーを飲みながらぼんやり窓の外を眺めていた。 なんだか妙に早く目が覚めてしまった。ずっと神経が張り詰めたままで、夜も寝たのかそうでないのか分からないような感じだ。  目が覚めてすぐにケイナのことを考えた。 …