04-09 ゼロ・ダリ

「何があったんです?」 「セレス・クレイのブレスレットとケイナのネックレスです」 ブレスレットとネックレス? いったいどうして……。 「ユージーは解析をしたらブレスレットもネックレスも焼却すると言っていたはずなのに……」 …

04-08 ゼロ・ダリ

 ユージーの秘書、アンリ・クルーレは12時きっかりにヨクと共にカインの部屋にやってきた。 がっしりした体つきはヨクよりも大きい。軍人らしい四角い顔に高い鼻梁、浅黒い肌を持った50代くらいの男だった。カインは立ち上がると彼 …

04-07 ゼロ・ダリ

「会社の金をごっそり引き出して行ったんだよ。ふたりとも」 「お金を?」 カインは目を細めた。ヨクはうなずいた。 「トウの予想通り、サエはきみへの興味を失ったんだ。金を持って逃げたのはトウに売りつけたような気持ちだったんじ …

04-06 ゼロ・ダリ

カインは再び向き直って彼を見下ろした。ヨクはじろりとカインを見上げたが、すぐに目を逸らせた。 「ボルドーの会社とはとっくの昔に取引はなくなってるよ。たぶんこれからもない。知らせる必要なんかないだろう?」 「父はどんな人だ …

04-05 ゼロ・ダリ

 翌日ヨクはカインの部屋を訪れて、いきなり彼の構える銃口に出迎えられて立ちすくんだ。 「なにしてんだ!」 「ごめん」 カインはデスクの脇に立って申し訳なさそうに銃を下におろした。 「しばらく持ってなかったから、慣れておこ …

04-04 ゼロ・ダリ

「遅いな……」 カインは顔をあげると、時間を確認してつぶやいた。時間はもう10時近かった。アシュアはどこかで寄り道でもしているんだろうか。 いや、もしかしたらこっちに来るのは明日にするつもりかもしれない。 カインはそう考 …

04-03 ゼロ・ダリ

 クレイ夫妻に別れを告げ、アシュアはそのままエアポートに向かった。 出発までまだ間があったがゆっくり時間を潰せるほどの余裕もない。アシュアはロビーに向かって歩きだした。 小さなスタンドカフェが目に入ったがそのまま素通りし …

04-02 ゼロ・ダリ

「セレスの記憶はどれくらい失われているものなのか、分かるのかね」 ケヴィンが尋ねたので、アシュアは彼に目を向けた。 「セレスはほとんど体に損傷のない状態なので、思うほど失われた部分は少ないんじゃないかということです。でも …

04-01 ゼロ・ダリ

(『アライド』の朝はいつ来たのか分からないような感じだな) アシュアはホテルの小さな窓から外を眺めて思った。 ベッドも家具調度品も決して悪くない部屋なのだが、どうも居心地が悪い。窓の外を見るとさらに気持ちが滅入った。 『 …