02-08 ノマド

「アシュア」 エリドはさらに言った。 「夢見とはいえ、今の時間を生きている人間だ。未来を生きているわけではない。今の時間で見えるものから判断をして言葉を発しているに過ぎない。だから必ずしもそれが当たるというわけではないん …

02-07 ノマド

 興奮したうえにまとわりついてなかなか眠ってくれなかった双子が寝入ったあと、アシュアはテントを抜け出した。リアは子供たちと一緒に眠ってしまっている。 夢見のテントに行く前にアシュアは長老のエリドのテントに寄った。 中に入 …

02-06 ノマド

「なんで? ケイナはまだ目覚めてないぞ?それに、あいつもセレスも目覚めてから記憶がどれくらい残っているかわからないのに」 「うん……」 リアは小首をかしげた。 「でも、夢見たちがそう言うんだもの……」 「そこまで分かるん …

02-05 ノマド

 アシュアは木々の間から降り注ぐ光を見上げて目を細めた。 森の中はいつも平和だ。何もなかったようにすべてがいつもここにある。 しばらく歩くと落ち葉を踏み分ける音がかすかに聞こえた。 「ブラン、ぜーんぜん隠れてることになっ …

02-04 ノマド

「アシュアは『ノマド』に帰らせた。彼にはきみの護衛をしてもらう。そういうのを伝えてきてもらおうと思って。家族がいることだし」 「アシュアに護衛を?」 「ほかの人間はだめだ」 目を細めるカインにちらりと一瞥をくれるとヨクは …

02-03 ノマド

 しばらくして部屋のドアが開いてアシュアが戻ってきた。 全員が彼に目を向けたのでアシュアは一歩足を踏み入れて少し困ったような顔をしてそれぞれの顔を見つめ返し、カインのベッドのそばまで大股で歩いてきた。息が荒い。大急ぎで戻 …

02-02 ノマド

 あとに残ったのは最高に不機嫌な表情のヨクと、わずかに目を潤ませているティだ。 窓に目を向けると外はもう暗かった。 ベッドのサイドテーブルにいつも置いている時計に目を向けると、午後9時を過ぎていた。6時間ほど気を失ってい …

02-01 ノマド

「だから護衛をつけろと言ったんだ」 カインは遠くでヨクの怒っているような声を聞いた。いらいらとした様子が口調ににじみ出ている。 「すみません、おれがついていながら……」 これはアシュアだ。 誰かが動く気配がする。ふわりと …