01-13 予感

 カインはやっと何が起こったかを悟った。 全身の力を振り絞って身を起こすと、自分に覆いかぶさるようにして倒れたユージーを必死になって抱えた。だがあっという間にアシュアの腕ではがいじめにされ、彼から引き離された。 「ユージ …

01-12 予感

 ユージーは黒い軍機でエアポートに着陸すると相変わらずの全身黒づくめの姿を見せ、カインに笑みを浮かべて片手をあげてみせた。 彼は決してスーツは着ない。いつも軍服だ。今となっては彼がスーツ姿になるほうが違和感があるかもしれ …

01-11 予感

 トリはアシュアの身代わりとなって亡くなったと聞いた。 アシュアがそのことを口にしたのはもうずいぶん前に一度きりだ。アシュアの気持ちを考えてカインもそれ以上に詳しくは聞いていない。 「子供たちは元気?」 カインはアシュア …

01-10 予感

「まさかご子息の声に反応するとは思いませんでしたよ」 部屋のドアを抜けながら嬉しそうにドアーズは言った。 ドアーズはトゥの時代からホライズンにいるため、カインのことをいまだに『ご子息』と呼ぶ。カインはその呼称が嫌いだった …

01-9 予感

 襟も袖もない白い服を着て横たわっていたセレスのむき出しの腕と足が痛々しいほど細い。 それでも少年とも少女ともつかなかった体型が丸みを帯びている。もう今は少女としか見えない。 かすかに隆起を感じさせる胸が規則正しく呼吸の …

01-8 予感

 広い駐車場から『ホライズン』の建物の中に入るとひんやりと冷たい空気が頬に触れた。 常に18度に設定されている空調の空気はカインには少し肌寒いような気がした。 何人かの職員の会釈を受けながら白い壁に黒い床の長い廊下を進む …

01-7 予感

 アシュアの視線を感じてはいたが、カインはそれを無視した。 彼の読みは当たっている。自分はたぶんティに惹かれているのだろう。 ティは色白で笑うと左側の頬にかすかなえくぼができる。でも、それ以外にとりたてて個性を主張するよ …

01-6 予感

アシュアはプラニカに乗り込んで横に座るカインのほうをちらりと見た。 「なあ、カイン」 「なに」 カインはこちらには目を向けず生返事をする。アシュアはほんの束の間言おうか言うまいか迷った が、思い切って口を開いた。 「あの …

01-5 予感

「よう、久しぶり。」 翌日、約束の10時きっかりにアシュアはティに導かれてオフィスに入ってきた。 くるくるとした真っ赤な巻き毛を相変わらず頭の後ろできつくひとつにゆわえている。 この妙なヘアスタイルがアシュアはなぜか似合 …

01-4 予感

「ちょっと待って」 カインはふと手をあげると足を止めた。耳につけた小さな通信機が何かを受信したのだろう。 壁際に寄って彼が耳元に手をやったので、ヨクも一緒に周囲の人の邪魔にならないようそれに続いた。 「ユージー。今きみの …