25-9 赤いピアス

「いや!」 リアは必死になって繋がれた手を残したまま、できるだけ体をケイナから遠くに逃れさせようともがいた。 リアを殺そうとしていた…… おれはリアを殺そうとしたんだ…… ケイナは割れんばかりの頭の痛みに堪えながらリアを …

25-8 赤いピアス

「ユージーはな、おまえがノマドから来た頃は話すこともままならないほど自分の殻に閉じこもった子供だった。おまえが来てからあいつは変わったんだ」 「え……?」 ケイナの手がぴくりと動いた。 「ユージーは小さい頃に母親を亡くし …

25-7 赤いピアス

「わたしは、レイスランド・クレイと幼馴染みでな…… スクールが同じで父同士も仲が良かった。昔からの腐れ縁というやつだ」 「クレイ?」 ずっとうつむいて耳を傾けていたアシュアがはっとして顔をあげた。レジーはじろりとアシュア …

25-6 赤いピアス

「わたしは生まれてもいないし、もともとの話は父から聞いたものだ ……その父ももちろんその時に生きていた人間ではない。そもそも当事者はもう全員この世にはいないのだ。今、ことの概要を知っているのは当時の関係者の子孫の中でも限 …

25-5 赤いピアス

「アシュア・セスか」レジーがアシュアに険しい目を向けた。「カイン・リィは一緒ではないのか」アシュアは緊張しながらレジーに顔を向けた。そして手をあげて敬礼をした。「カイン・リィとは行動をともにしていません」「ひとり殺してい …

25-4 赤いピアス

「やれやれ……」鼻の頭に汗を光らせながらアシュアはつぶやいた。ユージーはやっぱり重い。ケイナの比ではなかった。「セレスが寝ててくれて良かったぜ。あいつがいたらもっと問題ややこしくなりそうだった」「あの子がついて来たって何 …

25-3 赤いピアス

「お茶?」 気を使ってテントの外から声をかけるとリアの訝し気な返事が聞こえた。 すぐに顔を出し胡散臭そうにアシュアの顔を見た。 「ユージーが予定より早く目覚めたんだ…… トリがリアに頼んで来てくれと言った」 「分かったわ …

25-2 赤いピアス

 トリがテントにやってきたのは夜もかなり更けてからだった。 アシュアは気配で目を覚まし、トリの表情に切羽詰まったものを感じて体を起こした。 ケイナに目をやると彼も起き上がって顔をこすっている。セレスは相変わらず目を覚まさ …

25-1 赤いピアス

 翌日になってもセレスは目を覚まさなかった。 呼吸も安定しているし心拍数も血圧も正常、ケイナの剣を真正面から受けたのと、そのあとにひたすら彼を呼び続けたことの疲労困ぱい状態、とトリは言った。 ケイナはユージーに会いたいと …