22-6 黒い影

 困惑したようなカインの表情をジェニファはしばらく見つめたのち、ポケットから小さな水晶玉を取り出した。 「これで試してみる? 私がノマドにいた頃の精を留めている唯一のものなのよ。もしかしたら迎えが来てくれるかもしれないわ …

22-5 黒い影

 しばらくしてアパートが見えたとき、カインはアパートの窓から空を見上げる人物に気づいた。 「ジェニファ……?」 カインはびっくりしてすばやく下を見回した。誰もいる気配はない。 彼女はカインのエアバイクに気づいたのかしきり …

22-4 黒い影

 ふたりに促されながら家の外に出るとレイの息子のジュナが白衣のままで立っていた。 彼は自分の横のエアバイクを顎で差した。 「ぼくのバイクです」 ジュナは言った。 記憶を辿ってもカインは9歳年上のレイの息子と話をした覚えは …

22-3 黒い影

「彼の生殖機能検査はプラス5クラスだった。次世代が欲しければきちんと治療して結婚して子供を作ればいいんだ。クローンやコピーは違法だよ」 「人並み外れた知能と運動神経と……」 カインはごくりと唾を飲み込んだ。 「人を殺すこ …

22-2 黒い影

「知っているといっても彼を二回ほど検査しただけだがね。それも8年くらい前になる。カンパニーを辞める直前にこれまで彼の検査を担当していた医師が急死したからというので引き止められた。私の同期の医師でな、同じ脳医学が専門だった …

22-1 黒い影

 カインはうっすらと目を開けた。しかし、まぶしくて思わず顔をしかめた。 「おっと失礼…… ちょっとさっきブラインドを開けたものでな」 聞き覚えのある声が頭上で聞こえ、ブラインドをおろす低い音がした。 カインは右手で目をこ …