20-7 遊牧民

 夕方になってリアがテントに顔を覗かせた。 「トリがもしよければテントにいらっしゃいって言ってるわ」 リアは言った。 アシュアはつい数分前に目覚めて大欠伸をしていたが、リアの顔を見た途端に不機嫌そうな表情になった。 しか …

20-6 遊牧民

 食事をとり、セレスが湯を浴びて戻ってくるとすでにアシュアもケイナの隣のベッドで高いびきをかいていた。 どうやらこのふたりはこのままで寝てしまうらしい。 セレスはなんだか目が冴えてとても横になる気がしなかった。 テントの …

20-5 遊牧民

「子供の頃の約束だけど」 リアはくすくす笑いながらケイナを見て言った。ケイナはさらにリアを睨みつけた。 「リア。うしろに下がっていなさい」 トリが静かにたしなめたのでリアはうなずいて大袈裟な身ぶりで3人に一礼すると仕切り …

20-4 遊牧民

 あれだけ森の中を彷徨い人の気配すら感じられなかったというのに、ものの10分ほど歩くと3人は周囲に複数の気配を感じるようになった。 木の幹に刃物のあとがあったり、草の上にも自分たちのものでない足跡が見られるようになった。 …

20-3 遊牧民

「ミズ・リィ…… 朝食をおとりになりませんか……」 秘書のクーシェは言った。 トウは疲労で真っ赤になった目を彼女に向けた。その目があまりにも鬼気迫っていたのでクーシェは思わず身をこわばらせた。 「ほっといて。自分の仕事を …

20-2 遊牧民

「重い……」 2時間ほど森の中を歩いたあとアシュアはそうつぶやいて近くの木の根元にケイナをおろし、自分も座り込んだ。 「体中完全に脱力してっから重くってしようがねぇ」 アシュアはうめいた。 「おれがケイナを背負おうか…… …

20-1 遊牧民

 もうすぐ夜が明ける…… カインは白み始めた空を見て思った。アシュアたちは今頃どうしているだろう。 「ちょっと待ってて」 エアポートの片隅に停泊している小さな飛行艇の前で女はそう言うと、カインを置いて中に入っていった。 …