03-4 ケイナ

 周囲にさっきと違うざわめきが起こったのはそれから15分ほどたったときだった。何ごとかと顔を巡らせるふたりの目にフロアの向こうから歩いてくるひとりの少年の姿がうつった。見学に来た少年たちよりニ、三歳は年上らしい。周囲より …

03-3 ケイナ

 「セレス、そっちじゃないよ。そこのエレベーターから156階まであがるんだ」勝手にどこかに行ってしまいそうなセレスの腕をアルは慌てて掴んだ。中央塔のエントランスは忙しそうに行き来する大人たちでごったがえしている。塔の中に …

03-2 ケイナ

  アルは「ライン」の公開見学会の日、普段より一時間早く起きて着替えをすませ、母親と顔を合わせないようにしてすばやく家を出た。父親のエアバイクを借りるつもりだったからだ。母親に見つかるととんでもなく長い説教を受 …

03-1 ケイナ

「ケイナ」カインは足早に歩いていくケイナの後ろから声をかけた。「ケイナ」もう一度呼んだ。いつもそうだ。慣れないうちは聞こえていないのかと思った。何ヶ月かしてやっと彼は無意識のうちに相手の声の調子で自分が受け入れたくないこ …